矯正装置の種類とその特徴について

歯列矯正には色々な種類があり、目的に応じた装置を装着して歯並びや噛み合わせを整えます。また抜歯が必要なケースや子どもの歯列矯正など患者さまの口の中は様々です。今回は矯正の種類や特徴についてお話します。

子どもの歯列矯正(床矯正)

子どもの顎の成長を促し、永久歯が正しい位置に生えるように整える歯列矯正です。乳歯と永久歯が混在する第Ⅰ期と、永久歯に生え揃ってから行う第Ⅱ期があります。

 

  • 第Ⅰ期

    乳歯と永久歯が混在する時期に行う歯列矯正です。永久歯は乳歯よりも歯が大きいため、顎が小さいと綺麗に並ばず歪んで生えてしまいます。そのまま永久歯が生え揃うと叢生、いわゆる乱食い歯と呼ばれる歯並びになってしまいます。顎の骨の成長を促し、永久歯が綺麗に並ぶための矯正治療を行うことで改善します。お子さまの口に合った取り外し式の装置を毎日14時間以上装着します。1週間に1度、装置に着いているネジを回して装置の幅を広げながら顎を少しずつ広げていきます。最初は痛くて泣くお子さまもいますが、徐々に慣れていきます。保護者の励ましや協力が、お子さまの根気と頑張りに繋がります。
    なお、床矯正中に前歯などに大きく隙間が生じることがあります。このような場合、部分的に矯正装置を付けて調整することがあります。

  • 第Ⅱ期

    永久歯が全て生え揃ったあとに行う歯列矯正です。第Ⅰ期で行った床矯正の効果が得られた場合、抜歯をするリスクはかなり低くなり、ブラケットとワイヤーと呼ばれる矯正装置を装着してさらに歯並びを整えていきます。また第Ⅰ期で永久歯が綺麗に並んだ場合、後戻りをしないよう、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着し、歯並びを整えます。

 

通常の歯列矯正

 

ブラケット+ワイヤーによる一般的な矯正治療
最も一般的な歯列矯正方法で、歯の表面にブラケットと呼ばれる小さなボタンとワイヤーを着けて歯を動かしていきます。中には抜歯を行ってから装置を装着することもあります。歯一本一本にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かす歯列矯正は、歯並びと噛み合わせを整えるための最もポピュラーな方法で効果も高い治療法です。ブラケットとワイヤーは金属で作られているのものと、セラミックやプラスチックなどを使った透明なタイプがあります。金属の装置は透明タイプに比べて安価ですが、目立つところがデメリットと言えます。透明タイプは金属と比べると目立たないため、矯正治療を行っていることをあまり知られたくない方にはおすすめの治療法です。ただ金属タイプと比べて、費用が高くなります。

気をつけなければいけない点として、虫歯になりやすいことが挙げられます。ブラケットの隙間に食べかすが残りやすく、ワイヤーを着けていることで歯と歯の間を落としにくく、そこから虫歯が広がる可能性があります。ワンタフトブラシやフロスなどを使って、念入りに歯みがきを行ないましょう。
なお治療期間は個人差がありますが、一般的に装置を装着してから終了まで1年半~2年半くらいの方が多いでしょう。

 

リンガル矯正(舌側矯正)

歯の裏側、いわゆる舌に近い内側にブラケットとワイヤーをつけて行う矯正です。

通常は歯の表側に装置を着けますが、特に金属装置の場合は少し口を開けるだけで装置が見えてしまい、大変目立ってしまうことが大きなデメリットです。舌側から矯正装置をつける舌側なら矯正治療を行っていることが周りからわかりにくいため、お仕事をされている方でも気にせず矯正治療を行うことができます。またリンガル矯正はその特性から、前歯に対する効果が高く、出っ歯の患者さまに特に向いている矯正方法です。出っ歯に悩んでいる方はこちらの方法を行うことで高い効果が期待できるでしょう。また舌側に装置を着けることにより、舌で歯を押すなどの悪癖を解消するメリットもあります。その他にも表側に矯正装置を着けることよりも虫歯になりにくい特徴があります。

その他舌側片側矯正といって、片側を歯の表に装置を着け、反対側をリンガル矯正を行う方法もあります。目立つ上顎側の歯にリンガル矯正、下顎側に通常矯正を行うことが多いでしょう。

マウスピース矯正

歯に直接矯正装置を着ける治療法とは異なった、マウスピースによる矯正方法があります。マウスピース矯正は取り外し可能な透明のマウスピースを使って、少しずつ歯を動かしていく方法です。透明マウスピースによる矯正は、とにかく目立たないこと、取り外しが出来ることが大きな特徴です。マウスピースを外して食事を行うため食事も美味しくいただくことができます。また口腔内にセラミックなどの被せ物が入っていても歯を動かすことができるのも特徴です。一般的な矯正方法では、被せ物を外していったん仮歯にして装置を着け、矯正終了後に仮歯を外して新たに被せ物を着ける流れになりますが、マウスピース矯正では被せものを触らずに矯正を行うことができることは大きなメリットでしょう。なお、食後はしっかりと歯みがきを行ってからマウスピースを装着してください。

またマウスピース矯正は1日20時間は装着時間が必要です。長時間マウスピースで歯を覆うため、唾液が歯に行き渡りにくく、歯の再石灰化が行われにくい状態が続きます。そのため虫歯リスクが高い方はねフッ素ジェルを使った歯みがきを行い、殺菌効果のある洗口剤を使うなど、虫歯に対して特に注意が必要です。
また全ての歯並びに対して効果があるわけではないのがマウスピース矯正の特徴の一つです。目立たずマウスピース矯正による効果が期待できない場合は、一般的な矯正治療になることを事前に理解しておく必要があります。
マウスピース矯正として、インビザラインやアクアフレームなどがあります。歯科医院により取り扱っていない場合があるため、矯正治療を受ける歯科医院で相談して下さい。

 

 

自分の歯並びに合った矯正方法で、満足のいく歯並びを

歯並びや噛み合わせを整えることは、見た目だけでなく、体の健康を良いものへと改善する大切な役割をもっています。ここにあげたように、矯正方法やその特徴は様々ですが、いちばん大切なことは、満足のいく結果を得ることです。虫歯治療など日常の一般治療と異なり、ゴールの結果を予測しながら行う矯正治療は、担当歯科医師との信頼関係です。

少しの疑問や不安点を残さず、担当医と十分話し合って、満足のいく歯並びを手に入れましょう。

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