はじめに
インプラントにはさまざまな素材や形状のものがあり、それぞれにメリットもあればデメリットもあります。
どんな素材のインプラントを使うかは人それぞれお口の中の状態も違っているため、専門知識を持ったクリニックを受診し診断してもらうことが大切です。
ここでは素材別インプラントのメリットとデメリットについてまとめてみます。
インプラント治療をご検討の方はぜひ読んでみてくださいね。
インプラントの歴史
歯をなくしてしまった時に、それを補うための治療として行われているのがインプラント治療です。
実際に、インプラントという言葉をよく耳にするけれど、詳細まで知らない方がほとんどでしょう。
ほとんどの方は手術が必要だから痛みがあるのでは?顔が腫れたりするのでは・・と不安に感じていることでしょう。
そもそもインプラントとは何かを埋め込むという意味で、医学分野においては人工関節などを体内に埋め込むものがよく知られているかと思います。
人間は歴史的に体の一部分を失った時になんらかの方法で補うことを考え続けてきており、古くから動物の骨や歯、貝殻などをインプラントとして使っていたことが分かっています。
インプラントの安全性
インプラントは整形外科で使われている素材と同じチタンを使って行うことが多いです。
そのため、金属アレルギーの方でも安心して治療が受けられます。
インプラント治療を行ったらメンテナンスを適切に行えるのあれば、第二の永久歯として長期間使用することができるでしょう。
ただ、どんな治療や手術にも全くリスクがないものはなく、事前の精密検査がいい加減だったり施術が不適切だったりすると、再度手術の必要が出てくることもあります。
信頼できるクリニックで治療を受けることが大切なんですね。
インプラントの素材
それでは具体的にインプラント治療に使われるインプラント体の素材にはどういったものがあるのでしょうか?
最近まで、インプラントには鉄や金、ステンレス、アルミ、サファイア・・などが使用されてきましたが、どれも治療がうまくいきませんでした。
その後、1952年にスウェーデンのブローネマルク博士という人がある実験をしている途中に骨とチタンが結合するのを偶然見つけたことで研究を続け、安全性の高いインプラント治療が可能となり、現在のインプラント治療にいたります。
そもそもチタンとは金属の一種で医療用として使われているもので純チタンやチタン合金などがありますが、純チタンに含まれているものに鉄、チタン、酸素、水素、窒素があります。
歯科医療分野でインプラント治療にチタンを使う以外にさまざまな分野でチタンは幅広く使用されており、たとえば、宇宙、航空分野などでも使われています。
また、スポーツ用品やエンジンなどにもチタンは広く使われています。
チタンは非常に耐食性が高いという特徴があり、酸性の食べものなどを食べても耐食性が高いため安心です。
ただ、あまりに耐食性が高すぎるため加工しづらいというデメリットがあるものの、インプラントの素材に使用するという観点から見ると、治療後のリスクは低いと考えてよさそうです。
純チタン
さて、インプラントの材料に最も使われているのは純チタンですが、他にも数種類ほどあるようです。
ほとんどのクリニックでは純チタン製のインプラントを使っていると言われています。
現在広く行われているインプラントの歴史はこの純チタンから始まっている・・とも言えるほど、インプラント治療に必要不可欠な素材です。
この純チタンのメリットとしては金属アレルギーの心配がありません。
その理由は純チタンに含まれている成分が人間の体にもともとあるものだからです。
ただ、金属アレルギーの心配がある方は前もってクリニックで行われているパッチテストを受けていただき治療に臨むようにしてください。
また、腐食に強いということで、何より骨との親和性が高いのが特徴です。
そのため、骨と頑丈に結合し一体化するのでインプラントが脱落する心配がなく、しっかりと噛むことが可能です。
これらのメリットは他の素材では実現不可能であり、チタンの発見によりインプラント治療は目覚ましい進化を遂げてきたと言ってもいいほどです。
純チタンの他に次のような素材がインプラントに使われています。
チタン合金
このチタン合金も純チタンと同じで、骨との結合性が高いことがメリットです。
さらに、純チタンより強度が強く加工しやすいというメリットもあります。
なお、強度についてはジュラルミンより強いというから驚きです。
耐食性についても純チタン以上です。
ただ、デメリットとしては摩耗に弱いという点があります。
そのため、かじりや焼き付きが起きやすいです。
チタン&ニッケル合金
さらに、チタン・ニッケル合金もインプラントに使われることがあります。
具体的なメリットと言うと、チタンと比較すると骨との結合性に劣るものの加工しやすいという点が挙げられます。
このニッケル・チタン合金は形状記憶合金として知られており、これはある一定以上の温度になると変形してもすぐ元通りになる性質があります。
その温度より低い温度で変形したとしても、ある一定の温度以上になればまた元通りの形に戻るという特性があります。
この特性を利用し家電製品や衣類など、さまざまな分野で使われています。
医療分野においてもステントやガイドワイヤーなどに使われるほど高い生体親和性を誇ります。
デメリットとしては純チタンと比べた場合、骨との結合性に劣るという点でしょう。
まとめ
インプラントはさまざまな研究を重ねた結果、現在まで進化し続けている治療法です。
インプラントの寿命は飛躍的に伸びているという現状がありますが、過去のデータだけで将来の症例に全て当てはまるというものではなく、治療後のメンテナンス状態や噛み合わせなどによりインプラントの寿命はかなり変わってきます。
どのような素材を使ってもメンテナンスがいい加減では意味がありません。
かかりつけの歯科医師の指示に従っていただき、日ごろのケアや定期的な検診を怠らず、ずっと快適な状態でインプラントを使用できるよう努めてくださいね!