理想の噛み合わせと悪い噛み合わせについて

歯列が整った歯並びとは、単に見た目が美しいだけでなく、噛み合わせもとても良いものです。噛み合わせは全身の健康にたいへん深くかかわっており、どこか体の不調を感じた場合、噛み合わせを調整することで症状が改善されることがあります。今回は矯正をするべき人の噛み合わせの特徴などについてご説明します。

 

 

理想の噛み合わせとは?

 

「噛み合わせが良い」「理想の噛み合わせ」と言葉にするものの、そもそも噛み合わせが良いということはどんなことでしょうか。それは、上下左右ともに均等に噛み、噛むための筋肉や顎の関節などに負担をかけないことを言います。左右の額関節にズレがなく正しい位置で前歯、奥歯が噛み合っていることが理想です。
奥歯は下顎を安定させるための噛み合わせが大切となります。左右の奥歯が均等に当たることが良い噛み合わせの条件です。また前歯は下の前歯が上の前歯の裏側に軽く当たるくらいが良い噛み合わせと言われています。

 

 

美しい歯並び、でも実際は噛み合わせに問題があることも

そして一見美しい歯並びでも、実際には噛み合わせがズレている場合があります。噛み合わせに違和感を感じる場合、顎の位置がズレて噛み合わせに異常があることも考えられます。
噛み合わせは一生同じままとは限りません。歯周病や加齢とともに歯ぐきや顎の骨に変化が生じた場合や、何かの原因で歯を抜いてそのままにしておくと、歯の傾きや移動などといった変化が生じ、それに伴って噛み合わせが変わってきます。また日常の悪癖で歯並びのバランスが崩れて歯並びが変わり、噛み合わせに変化が起こることで悪いか見合わせになってしまうことがあります。

 

 

悪い噛み合わせとは?

 

「悪い噛み合わせ」とは、噛み合わせのバランスが崩れて顎関節や筋肉に負担がかかっている状態のことを言います。悪い嚙み合わせの原因として、歯並びの悪さや虫歯治療による被せ物や詰め物の高さが合っていない、寝ている間の歯ぎしりや噛み締めなど日常の癖によるものなどがあります。歯並びがデコボコしている場合、歯の位置が悪く噛み合わせがずれることがあります。また歯の高さが足りない場合も噛み合わせが低くなり、噛み合わせのバランスが崩れる原因になります。反対に、虫歯治療における被せ物や詰め物をした歯が高い場合にも同じことが言えます。
それ以外にも頬に手をあてて片肘をつく姿勢も、顔が歪む原因です。

 

 

悪い噛み合わせによる影響とは?

噛み合わせが悪いとどんな影響が出てくるのでしょうか。見た目の悪さだけでなく、発音の悪さ、顎関節症の原因、肩凝り、頭痛などの症状が出ることがあります。

 

  1. 虫歯や歯周病になりやすく、治療が行いにくい

    口腔内では、悪い噛み合わせにより虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。噛み合わせの悪さは歯並びの悪さに起因することが多いため、歯が重なってブラッシングが十分に行えない部分にプラークや歯垢が溜まり、そこへ虫歯菌や歯周病菌が棲みついてしまいます。さらに噛み合わせが悪い人は、噛んでいる歯だけに負担がかかり、歯が揺さぶられやすくなることから歯周病が悪化する傾向があります。
    また、噛み合わせが悪いと歯の凹凸により治療も難しく、きちんと治すことが困難な場合があります。

  2.  顎関節症になりやすい

    嚙み合わせの悪さは顎の関節に負担を与え、痛みとなって表れてくることがあります。この症状は歯並びや噛み合わせに問題がない人にも起こりますが、噛み合わせの悪い人は悪化する傾向があります。

  3. 顔が歪む原因になる

    嚙み合わせのバランスが崩れることで、同じ歯で噛む癖がついてしまいます。同じ歯でばかり噛んでいると、表情筋や咀嚼筋の発達に差が出てしまい、顔の歪みとなって出てしまいます。

  4. 肩凝りや頭痛などの原因になる

    肩凝りや首の痛み、頭痛などを感じる場合、噛み合わせの悪さが原因していることがあります。噛む筋肉は首や肩に繋がっており、噛み合わせが悪いと筋肉のバランスが崩れてしまうために頭痛や肩凝りとなって現れます。

 

 

このように、噛み合わせの悪さは口の中そして全身の健康に大きく関わるのです。

 

悪い噛み合わせにはどんな種類があるのか

歯並びの悪さ、また不正咬合と呼ばれる問題のある嚙み合わせには、以下のようなものがあります。このような歯並びは、矯正治療を受けることで改善を図りますが、中には外科処置が必要なケースもあります。

 

  1. 上顎前突(出っ歯)

    いわゆる「出っ歯」と呼ばれているものです。前歯が前へ飛び出たような歯並びが特徴で、上顎が下顎に対して大きい場合に見られます。また子供の頃、前歯が永久歯に生え変わったにも関わらず指しゃぶりをする癖が抜けなかった場合にも起こります。

  2. 反対咬合(受け口)

    下の歯が上の歯を被せるようにして生えている、いわゆる「受け口」と言われる歯並びです。外科処置が必要な場合があります。

  3. 叢生(乱食い歯

    歯と歯が重なってデコボコに生える、一般的に乱杭歯と呼ばれる歯並びです。八重歯も叢生です。

  4. 開咬(オープンバイト)

    噛んだ時に前歯が重ならず、前歯が閉じない歯並び、嚙み合わせです。発音が不明瞭だったり前歯で食べ物を噛みきることができません。通常、外科手術を行うことで改善を試みます。

  5. 交叉咬合

    上下の前歯の中心がズレて噛み合わせにズレが生じている状態です。奥歯で食べ物をすり潰しにくく顔も歪んでしまう原因になります。

  6. 正中離開(すきっ歯)

    歯と歯の間に隙間が生じる歯並びです。顎の大きさに対して歯が小さい場合や、舌で歯を押し出すクセが原因のこともあります。

 

嚙み合わせや歯並びを治すために必要な矯正治療

 

このように、歯並びや噛み合わせに問題があることは、口の中や体に色々な影響を与えることになります。症状を改善するためには、矯正治療を行うことが最も効果的です。矯正治療と言うと、歯並びを美しく整える、見た目だけを重視した治療と思われがちですが、矯正治療の最大の目的は、「正しい噛み合わせを導くこと」です。頭痛や肩凝りなどの不調を感じる方は、実は噛み合わせに問題がある可能性が非常に高いと考えられます。

 

理想の噛み合わせを手に入れることは、体の健康に大きく繋がります。噛み合わせを整えることで症状が改善されるケースも多いため、気になる症状がある場合はできるだけ早く歯科医院で相談してください。

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