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矯正治療の必要性とは
歯列矯正は何故必要なのでしょうか。
矯正治療と聞くと、最も多いのが見た目を整えると答える人が圧倒的に多いでしょう。
しかしそれ以外にも大切な役割があり、それは「噛み合わせを正しくすること」です。
噛み合わせが悪いと頭痛や肩凝り、顎関節症などの不快症状を引き起こすことがあります。
また噛み合わせにズレが生じると、食べ物が噛み辛く、しっかり噛むことが困難になります。
そのためあまり噛まずに食事を進めてしまい、肥満などの原因になる可能性があります。
肥満は様々な生活習慣病と深い関係があると言われていますが、その原因のひとつに噛み合わせの不具合と言うものがあるのです。
それ以外にも噛み合わせが悪いと、口周りの筋肉バランスが崩れ、顔が歪んでしまうことがあります。
そして歯並びの悪さは虫歯や歯周病になりやすいことも、歯列矯正が必要となる大きな原因です。
歯並びが悪いとブラッシングがしにくく、歯ブラシの毛先が届きにくいため磨き残しが出てしまいます。
このためプラークが溜まりやすく、そこが虫歯菌や歯周病菌の温床になってしまい、虫歯や歯周病になってしまいます。
見た目はもちろんこのような症状にならないために、矯正治療を行うことが必要となるのです。
矯正治療の種類
矯正治療は、年代やライフスタイルにより様々な種類があります。
床矯正
乳歯と永久歯が混在する時期に行う矯正方法です。
顎が小さく、永久歯が並ぶスペースが不足することから歯並びが乱れることが予想される子どものための歯列矯正です。
型取りを行って装置を作成し、毎日一定時間装着して少しずつ装置を着けることで顎の骨の成長を促し、永久歯が並ぶスペースを確保していきます。
この装置は取り外し式のため、食事に差し障りはありません。
また週に1回、装置についているネジを回し、装置を広げで装着します。
こうすることで少しずつ顎の骨を広げ、乱れた永久歯の並びを整えながらスペースを広げていきます。
必要に応じてブラケットとワイヤーを取り付ける場合もあります。
また症例により、成人でもこの床矯正治療を行うこともあります。
ブラケット+ワイヤー矯正
最も一般的な矯正治療です。
歯の表面にブラケットと呼ばれる小さなボタンを装着し、ワイヤーを通して少しずつ歯を動かしていく方法で、最も確実に歯並びを整える矯正方法です。
抜歯が必要なケースでは抜歯を行ってからブラケットとワイヤーを装着するケースもあります。
ブラケットとワイヤーはメタル(金属)のものと、プラスチックおよびセラミックで作られた透明のものがあります。
効果は確実ですが、メタル素材の装置は見た目に目立ち、周りから矯正治療を行っていることがすぐにわかってしまうため、審美的にデメリットと言えるでしょう。
セラミックなどの透明タイプは目立たず、審美的にはメタルブラケットのものより優れていますが、費用はメタル素材に比べて高くなります。
また、歯の裏側に装置を装着して矯正治療を行うリンガルブラケット治療があります。
装置を歯の裏側に付けることで、口を開けたときに装置が見えにくいため、矯正治療を行っていることが他の人からわかりにくいことがメリットです。
またこの方法は矯正装置が見えにくいこと以外にも、虫歯になりにくい、前歯が出っ歯の方は後退しやすいメリットがあります。
また舌で歯を押してしまう悪癖防止にも効果を発揮します。
ただし料金的には表面に取り付けるよりも高くなります。
またブラケットとワイヤーを部分的に取り付けて矯正を行う部分矯正もあります。
気になる部分だけ矯正装置を付けて歯列矯正を行う方法です。
例えば前歯だけを治したい、歯の隙間が気になるなど、全体ではなく部分的に矯正治療を希望する患者さまにとって適した治療法です。
全ての歯を矯正するより費用面や治療期間を抑えることができます。
しかし症例により適応できない場合や、全体的に矯正治療を行うよりも仕上がりが劣る場合があります。
コルチコトミー矯正
コルチコトミー矯正とは、外科手術を行うことで歯の矯正スピードを速める矯正方法です。
外科手術で歯を支える顎の骨に溝を入れ、歯の動くスピードを速めます。
この方法は歯が早く動くことで矯正装置や保定装置を装着する期間を大幅に短縮することが大きな特徴です。
また顎の骨を広げて歯が並ぶスペースを確保しやすく、抜歯をせずに済むこともメリットです。
しかしこの方法は、症例によってはできない場合もあります。
また成長期のお子さまにはこの方法は適用できません。
また外科手術を伴うため、術後歯ぐきの腫れなどが生じることがあります。
マウスピース矯正(アクアフレーム、インビザライン)
透明なマウスピースを使った矯正治療法です。
従来のブラケットとワイヤーによる矯正治療と異なり、マウスピースを装着することで少しずつ歯を動かして歯並びを整えていく方法です。
透明に近いマウスピースのため、見た目ではほとんどわかりません。
また取り外し式のため、飲食のときに取り外すことができることから日常生活を快適に過ごすことができます。
そして歯の衛生面を保ちやすいという大きなメリットが存在するのも、マウスピース矯正の大きな特徴です。
従来の矯正方法では食べかすがブラケット周りに付着しやすいため取り除きにくく、プラークが溜まりやすくなって虫歯リスクが高くなってしまいます。
またワイヤーのために歯と歯の間にフロスが通し辛く、汚れが溜まり易いために虫歯になる可能性が高まります。
このような問題点を大きく解決してくれる方法が、インビザラインなどのマウスピースによる矯正です。
食事中にマウスピースを取り外し、そのまま食後の歯磨きを簡単に行うことができるため、口腔内の環境を整えやすいことが大きな特徴と言えるでしょう。
しかしどんな歯並びでもマウスピース矯正ができるわけではありません。
担当医によりマウスピース矯正でよい結果が残せないと判断された場合は、従来の治療法を適用する場合があります。
このように、歯列矯正には様々な種類があり、それぞれ症例に適した方法や特徴があります。
歯並びを整えることは見た目はもちろん、口腔内の衛生環境や発音の明瞭さ、そして体の健康にも大きな関わりがあります。
最適な結果を得るためにはご自身にあった矯正治療を行うことが大切です。
担当医と十分話し合って、美しい歯並びを手に入れましょう。