虫歯や事故、怪我、歯周病などで歯を失ってしまう方は少なくありません。「歯が1本くらいなくても大丈夫!」と放置している方も多いのですが、歯を失うことで引き起こされるトラブルがあります。
ここでは、歯を失うことによって起こるトラブルについて詳しくご紹介します。「あのとききちんと治療を受けていればよかった…」と後悔しないように、しっかり治療していきましょう!
目次
歯とバランスの関係
永久歯は上下の歯を合わせて28本、親知らずを含めると32本あります。正面から見て順番に、前歯、小臼歯、大臼歯となり、それぞれ上下の歯がバランスよくかみ合うようになります。また、上下の歯だけではなく、顎関節や舌、筋肉などがしっかり適切な機能を果たし、口と体のバランスを保っています。
たった1本の歯を失うだけで、歯や舌、筋肉、顎関節が適切な機能を果たし、口と体のバランスが保たれている状態が簡単に崩れてしまいます。ほとんどの方が、奥歯から歯を失っていく傾向がありますが、歯が無い状態をそのままにしていると、失った歯の隙間を埋めるように隣の歯が傾いたり、直接噛み合っていた歯が伸びてしまったりします。
歯を失ったままさらに放置していると…
噛み合わせがずれていると、大きな負担を受ける歯が出てきてしまいます。周辺の歯が徐々に影響を受け、最終的には前歯に負担がかかってしまいます。強い負荷によって大きなダメージを受けた歯は、噛む力を失い、全身に力が入らない、硬い食べ物が噛めない、などの問題が生じてしまうでしょう。
上手く噛むことが出来ないと、胃腸への負担が大きくなり、消化不良を招く恐れがあります。また、脳への刺激や血流が滞ると、集中力が低下したり、思考能力が落ちたりします。そして、噛めなくなるとアルツハイマーを招くこともあるのです。
歯を失うことで起こるトラブル
歯を1本でも失うことで、以下のようなトラブルが引き起こされる可能性があります。
- 正しい発音が出来なくなる(発音障害)
- 顎関節症になる
- 見た目が悪くなる
- ほかの歯に悪影響を及ぼす
- 脳への刺激が低下して痴呆の原因につながる
- 集中力や思考能力が低下する
- 顔や首にシワやたるみが出来る
- 左右のバランスが乱れるので、顔の輪郭が変化する
- しっかり噛むことができないので、消化器官に負担がかかる
- 歯の噛み合わせが悪くなるので、歯並びに悪影響が出る
- 歯を支えていた顎の骨に力がかからなくなるので、骨が痩せてしまう
1本の歯の喪失が全身に影響を及ぼす
歯を1本でも失うと、以下のような当たり前のことが普通にできなくなってしまうのです。
- キレイな歯並びを維持する
- 快適に話す
- 硬いものを噛む
- 健康な胃腸で好きなものを食べる
そのため、たった1本だけと考えずに、できるだけ早めに歯科医院を受診することが大切です。
歯を失った時の治療法
では、歯を失ってしまったらどんな治療法を受ければよいのでしょうか。ここからは、歯を失った際に歯科医院で行う治療法についてご紹介します。
歯を失ってしまった方は、自分にはどのような治療法が向いているのか確認していきましょう。また、自分では判断できない場合は、歯科医院で相談してみると良いでしょう。歯科医院では、症状にあった適切な治療をアドバイスしてくれます。
部分義歯
部分義歯は、両隣の歯を削りたくない方や、最小限の処置で済ませたいという方におすすめの治療法です。
【部分義歯のメリット】
- 口の中の型どり1回の治療で作成が可能(その後の調整は必要)
- ほかの治療法と比べて、治療日数や回数が少ない
【部分義歯のデメリット】
- バネが目立つので気になることがある
- 食事や会話の際に、義歯ががたつくことがある
- 食事や就寝前に義歯を外して洗う必要がある
今は、バネのない軽い新素材の義歯もあるので、気になる方はそちらで治療しても良いでしょう。
ブリッジ
ブリッジは、取り外しできる義歯には抵抗がある方や、噛み合わせを作るために歯を削っても良い、またはかぶせ物を外しても良いという方におすすめの治療法です。
【ブリッジのメリット】
- 取り外す必要がない(固定式の歯になる)
- 治療日数や回数が少なくて済む
【ブリッジのデメリット】
- ブリッジを支える歯に少しの負担がかかる
- 場所によっては銀歯になるので、口の中で目立つことがある
- ブリッジにトラブルが起こると、ブリッジ全体をやり直す必要がある
ブリッジは、保険適応外の自費になってしまいますが、白い素材でブリッジを行うこともできます。「ブリッジにしたいけれど銀歯には抵抗がある…」という方は、こちらのブリッジがおすすめです。
インプラント
インプラントは、取り外しできる義歯にはしたくない方、歯を削りたくない方、元の歯のようにしっかり食事を楽しみたいという方におすすめの治療法です。
【インプラントのメリット】
- 取り外しの必要がない(固定式の歯になる)
- 歯を削る必要がない
【インプラントのデメリット】
- 外科手術が必要になる
- ほかの歯の状態やインプラントをする予定の歯の骨の質、量によってはインプラントが適さない場合がある
- トラブルによってインプラントを残せない場合がある
- インプラントの治療期間は、ほかの治療法に比べて長くなる
インプラントにはデメリットもありますが、ブリッジのようにほかの歯に負担をかける心配が少なく、義歯のように取り外す必要もないので、一番理想に近い治療法と言えるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
歯が1本でもなくなった時に起こりうるトラブルや、その治療法についてしっかり理解できましたか?
歯は、1本でもなくなると口の中のトラブルだけではなく、全身のバランスが崩れて様々な悪影響をもたらしてしまいます。このような悪影響は、歯が抜けるとすぐに起きるわけではありませんが、将来的には徐々にトラブルが増え、多くの歯を失ってしまう可能性があります。
現在は、歯が抜けた時のための、最適な治療法がたくさんあります。もし、歯が抜けたまま放置しているという方がいたら、トラブルを回避するためにも、すぐに歯科医院に行って適切な治療をしてもらいましょう。たかが1本の歯と油断しないで、健康のためにも、しっかり治療することが大切です。