前歯をインプラントにする前に知っておくべき注意点

前歯は目立つ部分でもあるので、高い審美性が求められるでしょう。そのため、前歯をインプラントにしたいと考える方も少なくありません。しかし、前歯のインプラントは治療が難しい部分でもあるのです。

前歯のインプラントは治療が難しいからこそ、歯科医院選びや、治療法の選択を慎重に選ぶ必要があります。

ここでは、前歯をインプラントにする前に知っておきたい注意点などをご紹介します。前歯のインプラントを検討中の方は、ぜひ参考にしてくださいね。

前歯の役割

歯の持つ役割は、食べるために噛むことです。特に前歯は、食べ物をしっかり噛み切る役割を持っています。なお、奥歯は食べ物をすりつぶすような役割があります。

そして、人間の場合は、発音についても歯の果たす役割が重要になります。前歯は、サ行の発音をする際に必要な歯なのです。

また、前歯は顔の表情をつくる際にも重要です。顔は、表情筋の働きによって、怒ったり泣いたり、笑ったりという感情表現をしています。その際、前歯は表情をつくることに大きく関係しているのです。前歯がなくなってしまうと、顔は唇が内側に落ち込み、老けた印象になってしまうでしょう。

そのため、前歯を失ってしまったら、それを補うために歯科医院でしっかり治療する必要があります。

前歯のインプラントはなぜ難しい?

前歯部分は骨が薄く、骨の厚みも不十分なので、インプラントを行う際は骨を増やす治療が必要となるケースが多いです。前歯は審美性が求められる部分でもあるので、見た目に関しても最大限に考慮する必要があるのです。また、歯茎が下がりやすいので、歯茎を増やす治療を行う場合もあります。

前歯はリスクの高い部位でありながら、高い審美性や機能性が求められるので、ほかの部位に比べて治療の難度が高くなるのです。

また、前歯のインプラントは以下の理由で難しいと言われています。

歯の中でも目立つ部分である

前歯は歯の中でも特に目立つ部分です。そのため、自然な噛み心地や機能性はもちろん、優れた審美性が求められるのです。

【前歯インプラントに求められる審美的要素】

  • 歯茎のふちの高さやボリュームが自然である
  • 周りの歯と左右対称である
  • 上部構造の根元の金属が露出していない
  • 歯と歯の間に三角の歯茎がある
  • 歯茎に金属部分が透けて見えない

顎の骨が薄い

日本人は顎の骨が欧米人に比べて薄い傾向があります。特に、前歯の顎の骨は薄いので、そのままの状態では、インプラントを埋め込むだけの骨の厚みが足りない恐れがあるのです。必要に応じて骨の厚みを増やす手術が行われるのですが、外科手術なので、合併症などのリスクも配慮しなければいけません。

また、歯周病によって前歯を失った場合は、歯槽骨の吸収が進行して、さらに骨の厚みが薄くなっている可能性が高くなります。

インプラントの埋入位置

前歯をインプラント治療する際には、インプラントを埋め込む位置付近に、上顎洞や鼻腔が近接し、なおかつ骨のボリュームが少ないケースが多いので、手術前に精密検査をしたり、医師の高度な治療技術が必要となります。

そのままインプラントを埋入するのが難しい場合は、骨移植の手術を行っていきます。

前歯をインプラントにする前に知っておきたい注意点

それでは、前歯をインプラントにする前に知っておくべき注意点を見ていきましょう。前歯のインプラントは治療が難しい部位だからこそ、以下の注意点をしっかり確認しておく必要があります。

抜歯が必要になったら早めに治療を行う

前歯部分は骨の吸収が進みやすいので、抜歯してからの時間が長くなればなるほど、骨量が不足しがちになります。抜歯が必要になった際は、骨が無いままにしておかずに、歯を補う治療を行いましょう。

これはインプラントにする場合に限らず、抜歯を含めてどのように治療を進めていくのかを、担当医としっかり相談することが大切です。

治療にかかる費用を事前に確認する

前歯のインプラント治療の費用は、使う歯科材料によって異なります。希望の仕上がりにするには、どの素材を使ってどのくらいの費用がかかるのかを、事前にしっかり確認することが大切です。

また、歯茎や骨を増やす治療が必要になるときは、その分費用も高くなるでしょう。そのため、事前に具体的な費用と治療の総額を確認しておくことがおすすめです。

前歯のインプラントの経験が豊富な歯科医を選ぶ

インプラントの治療をたくさん行っている歯科医でも、前歯のインプラントを多く治療しているとは限りません。自分の症状と似た症例を多く経験しているか、事前にしっかり確認しておくとよいでしょう。また、前歯のインプラントに関しては、歯茎や骨を増やす治療の経験が豊富かも確認しておきましょう。

インプラントで起こる失敗は、歯科医選びが大きく関係しています。前歯のインプラント治療に限ったことではありませんが、どの歯科医で治療を受けるのかという点は大変重要です。

金属を使用しない製品を選ぶ

前歯のインプラントは金属を使用しない製品を用いることによって、金属が透けたり歯茎の変色を防ぐことができます。費用面との兼ね合いもあるのですが、特に高い審美性が求められる前歯のインプラントは、セラミックやジルコニアなどの金属を使わないかぶせ物を選ぶことがおすすめです。

また、かぶせ物とインプラント体を繋ぐアバットメント(連結部)は、チタン製のものが主流になっていますが、最近はジルコニアで出来たアバットメントを選べる場合もあります。

まとめ

いかがでしたか?

前歯のインプラントを行う前に知っておきたい注意点はしっかり理解できましたか?

前歯を失ってしまうと、食べ物を噛めなくなったり、話すことや見た目にも悪い影響が出てしまいます。そのため、前歯をインプラント治療するには、顎の骨の状態や噛み合わせ、審美性なども考慮して行うことが大切です。

また、顎の骨の厚みが足りないときは、骨を増やす手術を行う場合があります。そのため、予後のメンテナンスも含め、慎重に治療することが大切です。インプラント治療後も、歯科医院で定期的にメンテナンスを受け、インプラントが少しでも長持ちするように努めることが重要なのです。

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