目次
はじめに
人間の咀嚼力は自分の体重ほどもあると言われているため、歯科医師は患者さんが快適にインプラントを使い続けられるよう、治療後も残された歯や歯ぐき、噛み合わせの状態などさまざまな要素を考えた上で、きちんと計画を立てて治療を進めていきます。
また、インプラントメーカーも骨とインプラントができるだけ早く結合し、長期間安定する製品を提供できるための努力をしているため、インプラント治療の成功率は日に日に上がっています。
ただ、成功率は100パーセントではないので、トラブルが起こることもあります。
ここではインプラント治療後に起こるトラブルについて、保証制度についての基礎知識をご紹介します。
インプラント治療後のトラブル
インプラント治療の成功率が上がったとは言っても、100パーセントの成功率ではないのが現状です。
同じ材料や機器、機材を使って治療をしても治療する人が違えば結果も違うわけですし、患者さんそれぞれのお口のケアへの意識も違っているため何かのトラブルが起きることがあります。
インプラントが抜け落ちる
そんなトラブルの中で最もよく起こる初期トラブルに、インプラントが骨と結合せず抜け落ちてしまうものがあります。
主な原因としては手術時の細菌感染などがあります。
上部構造が欠けたり割れたりする
次によく起こるトラブルとして上部構造やアバットメントのトラブルで、ほとんどの場合しっかり噛めるようになったため上部構造が過剰に摩耗してしまい、薄くなったところが欠けたり割れたりするものがあります。
さらに、上部構造やアバットメントを固定するためのねじが折れたり、ゆるんだりするといったトラブルもあります。
インプラントのねじが歯ぐきから出てしまう
インプラントがしっかりと骨と固定されても、ねじの部分が歯ぐきから出てしまう場合があります。
ほとんどの場合、骨があまりないところにインプラントを埋め込んだり、骨が薄いところにインプラントを埋め込んだ場合にその部分が手術の影響で吸収されてしまうことで起こるものです。
インプラントの被せものが外れてしまう
骨の内部のインプラントはさほど問題なくても、被せものが外れてしまうことがあり1、2回程度ならほとんど問題ありませんが、何度も外れてしまうようなら根本的に何か問題があると考えてよさそうです。
インプラントの被せものでしっかり噛めない
インプラントが骨としっかりと結合し被せものもきちんと完成し見た目にはなんの問題もないように見えても、うまく噛めないことがあります。
これはほとんどの場合でインプラントを埋め込む場所の問題と、噛み合わせの問題により起こると言われています。
人工歯が抜けた、亀裂が入った、割れた
あまりに硬いものや打撲などによりインプラントに強い衝撃がかかり過ぎると、天然の歯と同様人工歯に亀裂が入ったり、抜けたり、割れたりすることがあります。
インプラントやアバットメントに異常がない場合、人工歯を補修したり、作り直したりすることで再度使えるようになります。
特に衝撃を受けていないのにこういったことになった場合、噛み合わせになんらかの問題がある場合があるため、かかりつけのクリニックで診察を受けるようにしましょう。
噛んだ時に痛みがある
噛んだ時に痛みがある場合はインプラントの周りの粘膜に炎症が起きていたり、噛み合わせに問題が起きている場合があるのでなるべく早く診察を受けるようにしましょう。
発音しづらい
人工歯を装着して半年以上経過しても発音しづらいという場合には人工歯を修正してもらったり、新たに作り直す必要がある場合があります。
かかりつけのクリニックできちんと診てもらうようにしましょう。
インプラントの周りの歯ぐきが腫れる
インプラントがしっかりと骨と結合し、上の被せものができてしばらくの間しっかり噛めるようになっても、時間が経つとインプラントの周りが腫れたり、血が出てくることがあります。
この原因はインプラントが結合した骨がなんらかの理由で吸収されてしまうことで歯ぐきに炎症が起きてしまうからです。
インプラントの保証制度とは
本来なら、医療行為に対して保証制度を設けているのは適切ではないかもしれません。
医療機関で病気が再発したから治療した時の医療費を返して欲しい・・などということはありえません。
ですが、歯科インプラントの場合自費診療で、治療する側と治療される側とが健康保険制度で決められた水準以上の結果を求める医療行為です。
健康保険が適用されないということは自己負担額も大きくなるため保証制度を設けているクリニックが多いのが現状です。
また、治療後に引っ越しや転勤などでクリニックを変わる場合があるためインプラントメーカー自体が保証制度を設けている場合もあります。
なお、保証制度の内容はクリニックによって違っていますが、大きくまとめてみると次のようになります。
- 上部構造とインプラントそれぞれに保証制度が設けられている
- 経過年数により償却減算方式を取っている
- 保証規約に定期検診が義務付けられている
- 上部構造とインプラント体それぞれの保証期間が違う場合や同じ場合がある
- 保証制度の費用が治療費に含まれているクリニックとそうでない場合がある
- 保証書を発行している場合とそうでない場合がある
保証制度のチェックポイント
インプラントの保証制度をチェックするにはどういった点にポイントを置けばいいのでしょうか?
- 再手術になった場合、保証されない費用があるかどうか
- 患者さん自身が自分でインプラントを選べる場合、それが保証対象外になるかどうか
- 保証対象期間はインプラントを埋め込んだ直後からなのか、人工歯を装着してからなのか
などがあります。
まとめ
最近、ホームページなどでインプラントの治療内容や保証制度、費用などを明確に記載しているクリニックが増えています。
患者はそういった情報を正確に得ることで、信頼できるクリニックを探せるようになっているということです。
インプラント治療を受けようかと考えている方はぜひ信頼できるクリニックを見つけていただき、納得いくまで治療内容や保証制度などについて質問するようにしましょう。