目次
はじめに
前歯をなんらかの理由でなくしてしまった場合、治療法として挙げられるものにブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。
それらはそれぞれメリットもあればデメリットもありますが、その中でもインプラント治療はメリットが多い治療法です。
ただ、インプラントはまだ新しい治療法なので、どういった治療内容なのかよく知らない方も多いでしょう。
ここでは前歯をインプラントにする場合のメリットやデメリット、治療の流れなどについてご説明したいと思います。
前歯のインプラントの治療期間
前歯をインプラントにする場合、患者さんによって治療期間がさまざまです。
目安としては早い方の場合3か月程度、遅い方だと10か月程度はかかるようですね。
どうしてこんなに幅があるのかと言うと、あごの骨の状態が人によって違うからです。
患者さんによってはインプラント手術を行う際に骨を移植する必要があったり、骨とインプラントが結合する期間も人それぞれです。
前歯のインプラントの治療の流れ
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手術前の検査
インプラント手術を行う前にレントゲンやCTスキャンを使って撮影し、骨の吸収具合や厚みなどを把握する必要があります。
さらに、歯型を取ってインプラントに装着する人工歯の形を検討する必要があります。 -
インプラントを埋め込む
局所麻酔を行って歯ぐきを切開し、インプラントを埋める部分を露出させ、骨の表面にしるしを入れます。
さらに、ドリスを使ってインプラントを埋め込む方向に穴を開けていきます。
穴を拡大していきインプラントを埋めるための幅のある穴にしていきます。
できた穴の部分にインプラントを埋め込み、仮の蓋をします。 -
骨を造成する
インプラントの周りの骨の厚みを確保するため、骨を造成する処置を行います。
また、移植した骨がちゃんと骨になるよう特殊な膜をそこに置いて保護することもあるようです。 -
縫合
さらに、インプラントや造成した骨を覆うため歯ぐきを縫ってふさいでいきます。
この時、ふさぐために歯ぐきが足りなかった場合は余計な力が歯ぐきにかかってしまう恐れがあるため、歯茎を伸ばすための処置をすることもあります。 -
仮歯の装着
さて、インプラント手術だけでは前歯がまだないため、しばらくは仮の歯を装着して過ごします。
この仮の歯は取れやすいためその部分で食べものを噛まないようにしましょう。 -
人工歯を装着する
なお、インプラントの周りに骨が結合するまで半年ほど待つ必要があります。
これを過ぎた後は人工歯を装着することになりますが、インプラントの場合人工歯のことを上部構造と呼んでいます。上部構造を装着するにはまず局所麻酔を行って歯ぐきを切開していきます。
そうすると、インプラントの仮の蓋の部分が見えるため、それを外して人工歯とインプラントをつなげるアバットメントと言われる芯を入れていきます。さらに、歯型を取って人工歯を装着し終了です。
前歯をインプラントにするメリットとは
では、治療が難しいと言われているインプラントが人気の理由はブリッジ治療などと比べて日常生活でメリットが多いからです。
歯がぐらつかず噛みやすい
インプラント治療は骨に埋め込む治療のため、他の治療よりものを噛みやすいメリットがあります。
入れ歯治療は強力な力がかかりすぎると取れてしまうと言われています。
入れ歯自体を骨に直接つけるインプラントなら強い力にも耐えられるので、前歯を治療するのに最適です。
審美性が高い
入れ歯治療だと装着する金属製のクリップが目立つため前歯を治療するのに適しませんが、インプラントは基部を直接あごの骨に埋めるので、他の治療と比較すると目立たないのがメリットです。
ただ、患者さんによっては金属製の基部が透けて見えることもありますので、そういった場合には白い金属を使ったジルコニアアバットメントを使うことで見た目をよくすることができます。
健康な歯への影響がほとんどない
インプラント治療はあごの骨に基部を埋めるので、他の健康なご自分の歯にほとんど影響がありません。
ブリッジ治療だと両隣の健康な歯を橋げたのようにして被せものを付けるため健康な歯を削る必要があります。
その部分が原因となり健康な歯が虫歯になることもあります。
ですが、インプラントだとあごの骨に独立して装着するため健康な歯を削らずに済みます。
前歯をインプラントにするデメリットとは
インプラント治療は歯科医師の高い技術力が必要ですが、その中でも前歯のインプラント治療は非常に難易度が高くデメリットもあります。
ここではそんなデメリットを2つご紹介しましょう。
歯ぐきが退縮しやすい
インプラントを埋め込む際の骨吸収するのと同時に起こりうるのが歯ぐきの退縮です。
これは機能的に特に問題はないですが、インプラントの部分だけ退縮してしまうと見た目が悪くなってしまいます。
笑った時に歯ぐきが見えやすい方は特に目立つと言われています。
神経麻痺などのリスクがある
前歯をインプラント治療する際、神経麻痺などのリスクがあることがあります。
このほとんどは下あごで起こると言われており、インプラント手術をする際に下あごの神経に触ったり、近かったりした場合に神経が損傷し麻痺が起きることがあるようです。
どういった症状が出るかと言うと、唇をうまく動かせず口に入れた水をこぼしてしまう・・などがあるようですが、下あごの神経は運動神経ではないため顔を動かしたりなどの運動機能に影響を及ぼすことはありません。
前歯をインプラントする際のクリニックの選び方
まず、ひとつのクリニックだけに決めてしまわず、複数のクリニックで担当医師のカウンセリングを受けましょう。
疑問点や不安点について親身になって相談に乗ってくれるか、メリットだけでなくデメリットまで説明してくれるか、前歯のインプラント治療の実績が多いかどうかなどもチェックしましょう。
まとめ
前歯をインプラント治療するということは、初めての診察から手術が終わるまでかなりの治療期間が必要でメリットもあればデメリットもあります。
また、大がかりなものではないですが、外科的手術が必要です。
ですので、なるべく経験が豊富な歯科医師に治療してもらうことをおすすめします。