矯正治療後に後戻りしないための注意点について

はじめに

矯正治療とは矯正装置を装着することが治療の中心だと思われていますが、実際には歯並びが改善し矯正装置を外せても後戻りしないように保定する治療が必要です。
保定は改善された歯並びを安定するためには大切な治療の1つです。ここでは後戻りしないための注意点についてまとめています。

歯並びが悪くなる原因

遺伝

歯の形や大きさ、上下のあごの骨のバランスや大きさが原因となり歯並びが悪くなることがあります。
また、生まれつき歯の数が少ない先天性欠如によって歯並びが悪くなることがあります。
生まれる際に両親からの遺伝子によって歯並びが悪くなることがあり、両親の歯並びが悪くなくても歯の形や大きさ、上下のあごのバランスや大きさの問題によって歯並びが悪くなることがあります。

悪いクセや習慣によるもの

悪いクセや習慣によって歯並びが悪くなることがあります。
また、指しゃぶりや爪を噛んだり口を開けたままの状態でいたり、ほおづえをついたりなどの習慣も歯並びが悪くなる原因になります。

歯は一生動き続けている

歯は生えてきたら同じ場所に同じ形であり続けるものではなく、少しずつ形や場所が変わり続けています。
たとえば、歯周病や虫歯などにより噛み合わせに変化があったり、上下の歯が食べものを噛むことですり減ったりすると、歯の高さに変化が起きます。
歯は前歯へ奥歯から力がかかるので、歯の高さや噛み合わせが変わってしまうとそれに合わせるように位置も少しずつ変わってきます。
矯正治療によって歯を移動させる場合、まず歯を支えている歯槽骨が吸収され歯が動き、移動先で新しく骨が作られ固定されると言われています。
ただ、矯正治療が終わったばかりの歯根の周りにある骨は弱いので食事や普段の生活習慣を行っているだけでも後戻りすることがあります。
さらに、抜歯などといったお口の中に急激な変化があった場合はさらに不安定になるので、後戻りしやすいと言われています。

後戻りを防ぐには

保定装置とは

矯正治療後の後戻りを防止するには保定装置を装着する必要があります。
美しく整った歯並びを安定して保つために必要な装置のことですが、実際矯正治療が終わったら安心してしまい保定装置を装着するのを怠る方が多いです。
ですが、保定装置をきちんと付けていれば後戻りが大きく起こることはないと言ってもいいほどです。
この保定装置にはいくつか種類があり、大きく分けると固定式と可動式のものがあります。
固定式のものは歯の裏側にワイヤーで装着するものが主流です。
後戻りを防止する効果が高いものの取り外せないのでメンテナンスをきちんと行う必要があります。
いっぽうで、可動式のものはワイヤーとプレートで歯を挟むものや透明なマウスピースのものがあり、最近増えているのはマウスピース型だそうです。
食事や歯磨きの時には外せるため便利ですが、装着するのを忘れると後戻りしてしまうのがデメリットです。

 

保定装置の装着期間

人によって差がありますが、早い方の場合は1年程度、長い方は3年程度期間が必要だと言われています。
この期間の目安としては矯正治療を同じくらいの期間と考えておきましょう。
なお、矯正した直後の歯は特に動きやすくなっているため美しい歯並びにするには保定装置は必ず使わなければなりません。
美しい歯並びを安定的に保つというのはほおなどの周りの組織や歯を支えている骨などが新しい歯並びに慣れ支えられるよう担った状態のことを言います。
保定装置の種類にもよりますが、装着し始めの頃は食事以外はずっと付けたままでいなければなりません。
矯正治療中は食事の制限が多少あるものの、保定装置になると外して食事ができるため好きなものを自由に食べられるのがメリットです。
とは言っても保定装置の種類によっては食べられないものもあるようですので、前もってクリニックで確認しておきましょう。
保定装置を装着し始めの頃は24時間装着したままであっても、少しずつ装着期間を短くしていくことが可能です。
安定すれば2日や3日に1度・・となっていき、最終的に使うのを中止できます。

後戻りを防ぐための注意点

悪いくせを改善する

小さい頃から悪い舌のくせがある場合、歯並びにかなり悪影響があります。
舌の位置が悪く舌が常に前歯に当たっていると、知らない間に前歯を押し続けてしまい受け口や出っ歯になることがあります。
舌は何もしていないと時は前歯の少し後ろにあり、上あごに沿いおさまっているのが理想的ですが、舌を正しい位置に改善すれば矯正後の後戻りを防止できるはずです。

姿勢を改善する

歯並びが後戻りするのに悪影響を及ぼす悪習慣には横向きで寝たりうつぶせ寝、ほおづえなどもあります。
ちょっとしたことにも思えるでしょうが、毎日ずっと続けていると歯並びが後戻りしやすくなります。

唇のくせを改善する

唇には歯を内側へと押す力があり、歯が前へと出ないようにする役目があると言われています。
ですが、唇を吸い込んだり噛んだりするくせがある方は強く歯を押さえつけてしまうので歯並びが後戻りする可能性が高いです。
逆に、口呼吸をする習慣があり常に口を開けている方は唇で歯を押そうとする力が弱いと言われています。
特に保定期間にこの習慣を行い続けると、歯の位置が元に戻ってしまう可能性が高くなるため改善するようにしましょう。

噛みしめのくせを改善する

強く噛みしめるくせがある方も注意が必要です。
この噛みしめのくせは噛み合わせが深くなったり、歯並びを悪化させる原因になるからです。
特に矯正治療後の後戻りしやすい時期には大きく歯並びを悪化させる原因になるためぜひ改善するようにしましょう。

まとめ

矯正治療が終わっても、きちんと保定期間を取らないとせっかくの美しい歯並びが元に戻ってしまいます。
保定期間も矯正治療の大切な段階だと理解し、歯科医師の指導通りに保定装置を装着するようにしましょう。
また、保定期間中に注意するべき点もしっかりと認識し、悪いくせや習慣がある方は改善するように努めましょう。
そうすれば、矯正治療で美しくキレイになった歯並びを維持することにつながるはずです!

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