歯周病で歯を失ってしまった方がインプラントを受ける際の注意点

はじめに

ブリッジや入れ歯とは違って、健康な歯を削らずに済む、審美性が高い・・など、メリットが多いインプラント治療ですが、そもそも歯周病で歯をなくしてしまっていても治療が受けられるのでしょうか?
ここでは歯周病で歯を失ってしまった方がインプラント治療を受ける際の注意点についてご紹介しましょう。

歯周病とは

そもそも歯周病とはどんな病気なのでしょう。
歯周病とは細菌感染によって起きる炎症性疾患のことで、歯と歯ぐきの境い目に汚れが溜まっていくと歯ぐきが炎症を起こし、腫れたり赤くなったりします。
ただ、初期の段階では痛みなど自覚症状があることはほとんどありません。
さらに、歯周病が進行すると歯周ポケットと言われる歯と歯ぐきの境い目が深くなってしまうため、歯を支えている歯槽骨が溶けだし歯がぐらつきだしてしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまうと言われています。
なお、歯周病を悪化させるものには次のようなものがあります。
歯ぎしり、食いしばり、噛みしめ、食生活の乱れ、ストレス、喫煙、薬の長期服用、糖尿病などの全身疾患・・などですね。

歯周病でもインプラント治療は可能か

そもそも重度の歯周病の場合にインプラント治療を受けることはできるのでしょうか?
40歳以上の方の8割もの方が歯周病だと言われていますが、それほど歯周病はポピュラーな病気だと言ってもいいでしょう。
歯周病だからといって、インプラント治療は無理だとあきらめる必要はありません。
軽度~中程度の歯周病の場合、歯周病治療を適切に行い改善することによってインプラント治療が行えることが多いです。
ただ、重度の歯周病の場合、まずは歯周病治療を行った上でインプラント治療を進める必要があります。
重度の歯周病の場合で歯槽骨の吸収が激しい場合にはインプラント治療ができないことが多いです。
インプラント体を埋め込む際はあごの骨がじゅうぶんであることが絶対条件なので、骨吸収が激しい場合にはインプラント体と骨とがしっかりと結合しづらいからです。
その対策として骨移植などがありますが、治療期間や治療費などの負担が増えることがデメリットになります。
歯周病は天然の歯を支えている組織の炎症ですが、インプラントも同様の炎症が起きるインプラント周囲炎というものがあり、これにも歯周病菌が関わっていると言われています。
歯周病になると、お口の中に歯周病菌が増殖しその状態でインプラント治療を受けてしまうと、このインプラント周囲炎が起きるリスクがあります。
さらに、インプラント治療を受ける際に隣の歯が歯周病だと周りの歯でも歯周病治療の必要が出てきます。

歯周病治療では次のことが行われます。

・プラークや歯石の除去、歯周ポケッの洗浄。
・ブラッシング法や食生活の指導。
・汚れが溜まりやすい詰めものや被せものをきれいに治療

歯周病が軽度の場合にはインプラント治療と並行して行うこともあるようですね。
インプラントを埋め込む手術を行うまでに歯周病が治る可能性があると判断した場合にはインプラント治療と並行して行われることもあります。
歯周病菌はインプラントや健康な歯の周りの組織を侵すだけでなく、病気を発症させたり進行させたりすると言われています。
歯周病だと分かったら適切な治療を受けていただき、治療後は再発させないように努めることが大切です。
歯周病によって歯がなくなった場合、インプラント治療を受けるには不足している骨を補てんする必要があるため、造骨手術が必要になることから治療期間が長引くこともあります。

歯周病の方のインプラント治療の注意点

インプラント治療は非常にメリットの多い治療法ですが、歯周病の方にはリスクが伴います。
歯周病が原因で歯をなくした場合、お口の中に歯周病菌があるためインプラント治療を妨げてしまうからです。
虫歯や怪我などで歯を失った場合にはその歯のあった部分だけを治療すればいいですが、歯周病は虫歯とは違うので歯以外にも歯ぐきや歯槽骨などの治療の必要があり、炎症は歯ぐき全体に及んでおりあごの骨の量も少ないはずです。
さらに、歯周病治療をしないで放っておいた場合にはさらに歯周病が進行してしまうため症状は悪化するいっぽうです。
すると、あごの骨が吸収されてしまったり全身へも悪影響が及びますのでインプラント治療ができなくなる・・というわけですね。

歯周病は全身疾患とも深い関わりがあると言われています。

たとえば、心筋梗塞や糖尿病、心疾患、高血圧や骨粗しょう症などと深く関係しています。
特に、糖尿病の重度の方はインプラント治療が困難なことが多いためかかりつけのクリニックで前もって相談しておきましょう。
また、骨粗しょう症の方で特定の薬剤を飲んでいる方もインプラントを埋め込んだり抜歯の際にあごの骨が死んでしまうことがあるため、インプラント治療ができないことがあります。
ストレスや禁煙、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の方も歯周病と深い関わりがあると言われています。
このように、歯周病は全身の健康と深く関わっているため歯周病治療を受ける際にはまずそういった疾患を治療し、歯周病治療を受けることをおすすめします。

まとめ

重度の歯周病で歯をなくしてしまった、噛み合わせが悪化している・・などの症状がすでにある場合、まずはクリニックで相談することが大切です。
それらの原因である歯周病を治療することによって、インプラント治療をスムーズに進められるはずです。
また、歯周病であってもインプラント治療可能なクリニックを探すにはインプラント治療についての技術や知識の豊富さだけでなく、歯周病についての治療経験や知識が豊富である必要があります。
さらに、治療前の説明では治療の流れや治療期間、費用などについてしっかりと説明してくれるクリニックを選びましょう。
インプラントは一生つきあっていく大切なものですので、治療前にご自分の不安点や疑問点をできるだけ解決しておくことが大切です。

TOP