歯を失ってしまったら、速やかに機能を回復させるための治療を行う必要があります。

失った歯の回復手段として入れ歯、ブリッジ、インプラントがありますが、そもそもインプラントとはどのようなものでしょうか。

入れ歯やブリッジと比較しながら、インプラントの機能や特長をご紹介します。

 

顎の骨に人工の歯根を埋め込むインプラント

インプラントとは、顎の骨にインプラントと言われる人工の根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療を言います。

インプラントで使われる素材は、ほとんどが純チタンおよびチタン化合物です。

チタンは骨と結合しやすい素材で、アレルギーなどの症状もほとんど起きません。

外科手術を伴うインプラントはほとんどの場合保険適用外となり、自費診療となります。

入れ歯、ブリッジは保険適用治療ですが、インプラントは自費のため、治療費が高額になります。

 

何故歯を失うのか

歯を失う理由として、保存不可である重度の歯周病や虫歯、歯の根っこが割れてしまった歯根破折などがあります。

重度の歯周病では、歯周病菌が顎の骨の中にまで入り込むことで顎の骨が吸収されることで歯がグラグラになってしまいます。

いちど歯が揺れ動き始めると、止めることは不可能になり、やがて抜け落ちてしまうか抜歯となります。

歯周病が進んだ歯をそのまま置いておくと、他の健康な歯にも影響が及んでしまうため、抜歯が必要となります。

虫歯が進行し、根だけになった歯も保存することができません。

土台を立てて被せ物を着けることができないため、根だけになった虫歯も速やかに抜歯をする必要があります。

事故など、何らかの原因で歯の根が割れてしまった場合も残念ながら保存は難しく、抜歯となるケースが多いでしょう。

 

入れ歯、ブリッジ、インプラントそれぞれの特徴

歯を失ったら、速やかに噛む機能を回復させるための治療を行う必要があります。

身近な治療である入れ歯、ブリッジは保険適用のため、安価で作製が可能です。

 

入れ歯（部分入れ歯、総入れ歯）

入れ歯は外科処置を伴わず、どこの歯科医院でもほぼ取り扱っているため、すぐに治療に取り掛かることができます。

部分入れ歯、総入れ歯ともに取り外しが可能ですが、入れ歯は咀嚼機能が弱く、しっかり噛むことが難しいことがデメリットです。

また食べ物が挟まりやすく、食事のたびに痛みを覚えやすいのも入れ歯のデメリットです。

そして部分入れ歯の場合、噛むたびに金具をひっかける歯に大きな負担がかかり、将来的にその歯を痛めてしまう可能性があります。

 

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削り、その歯を土台として被せ物をつける治療法です。

強度は入れ歯よりもはるかに優れており、硬い食べ物でもしっかり噛むことができます。

しかしブリッジの最大のデメリットは、健康な歯をたくさん削ることです。

健康な歯を削り、土台とすることで将来的に大きなリスクを抱えることになります。

また強度が強い分、噛むたびに土台の歯に大きな負担がかかり、土台の歯を早く痛めてしまう可能性があります。

ブリッジが奥歯の場合、保険治療で選択できるのは金属素材（銀歯）です。

金属素材は強度が強いため、対合の歯に大きなダメージを与えてしまうことも考えられます。

 

インプラントの特徴

 

他の健康な歯に影響を与えない

失った歯の部分に人工の根を埋め込んで被せ物を装着するインプラントの特徴のひとつは、入れ歯やブリッジと異なり、他の健康な歯に影響を与えないことです。

部分入れ歯やブリッジは、どうしても他の歯に影響が及んでしまいますが、他の歯に影響を与えないインプラントの場合、機能回復だけでなく他の歯を残すことができる優れた治療法と言えます。

 

噛む機能に優れている

咀嚼機能という大切な機能に優れていることも、インプラントの大きな特徴です。

顎の骨としっかり結合したインプラントは、噛む機能に優れており、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。

しっかりとした咀嚼は、認知症予防など脳の発達にとても大きな関わりがあります。

噛む機能に優れているインプラントは、体と脳の健康を守る役割を果たすと言えるでしょう。

 

審美面に優れている

インプラント体に装着する人工の歯は、まわりの天然歯と自然に調和するよう作られます。

そのため見た目が美しく、自然な口元を作り出してくれます。

 

インプラント治療を行う上で知っておかなければならないこと

メリットの多いインプラントですが、治療を考える上で知っておかなければならないポイントがいくつかあります。

 

メンテナンスをきちんと受けること

インプラント治療後に最も大切なことは、歯科医院で受けるメンテナンスです。

家庭でのケアはもちろん、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることでインプラント周囲および口腔内を健康に保つことができます。

しかしメンテナンスを怠ると、歯周病菌がインプラントの周りに繁殖し、歯ぐきの腫れや出血など、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病に似たような症状が出てしまいます。

最悪の場合、インプラントがグラグラしたり抜け落ちたりすることがあります。

そのまま放置することで顎の骨の吸収が進んでしまうと、顎の骨の密度が少なくなることでインプラントの再治療が難しくなります。

インプラント治療を行うためには、正しいセルフケアと定期的なメンテナンスを受けなければいけないことを事前にしっかりと把握しておく必要があります。

 

重度の糖尿病や骨粗しょう症の方はインプラント治療が難しい

持病をお持ちの方でも治療ができる入れ歯やブリッジと違い、インプラントは手術を伴います。

このため、重度の糖尿病および骨粗しょう症の持病がある方はインプラント治療が難しい場合があります。

内科の主治医とよく話し合う必要があります。

 

治療費が高額

インプラントはほとんどの場合自費治療となるため、高額な費用が必要になります。

インプラント一本の相場はおよそ30～40万と言われています。

保険適用の入れ歯やブリッジと比較すると、かなりの高額となります。

 

失敗しないためにも、良い歯科医院選びが大切

インプラントは外科治療を伴い、その分リスクも高くなります。

また簡単に作り直しができないため、慎重にならざるを得ません。

良い結果を得るためには、まず良い歯科医院選びが大切です。

インプラントにおける症例や実績が豊富であること、治療費が明瞭であること、予防歯科があり、メンテナンスをしっかりと行う歯科医院であることなどが失敗しない歯科医院選びのコツと言えます。

インプラントは、機能面、審美面などにおいてとても優れた治療法です。

満足のいく結果を得るためにも、信頼のおける歯科医院を選ぶようにして下さい。