知っておきたいインプラントの安全性とリスクとは

はじめに

歯科用インプラント治療は完全に安全な治療法とは言い切れませんが、では安全性はどの程度でリスクにはどのようなものがあるのでしょう。

インプラント治療を検討する際にぜひ知っておきたいインプラントの安全性とリスクについてお伝えしましょう。

インプラントとは?

数百年も前からある歯をなくしてしまった時の一般的な治療法として挙げられるのがブリッジや入れ歯でしょう。

ですが、こんなに医療技術が進歩した現代でこのブリッジや入れ歯にもデメリットはあります。

一方で、第三の歯とも言われているインプラントはまるで自分の本当の歯のような間隔で食べ物を食べたり、噛み砕けるため消化を助け栄養を摂取でき、あごの骨がすり減るのを防げます。

しっかりと噛めるため顔の老化も防げますし、脳を刺激することで認知症にもなりにくいと言われています。

インプラントの安全性

インプラント治療はあごの骨を削って人工歯根を埋め込むものです。
使用されている人工歯根は整形外科で骨折などの治療でも使われているチタン合金や純チタン製のもので、金属アレルギーが起きにくく、人体に調和しやすい素材です。

さらに、インプラント治療を行う時には一般的に局所麻酔が行われるので、痛みを感じることもほとんどないと言われています。
インプラント治療を安全に行うためには滅菌環境の整備など大変重要な要素となります。

ですが、やはり手術なので当然100%安全とは言い切れません。
歯科用CT撮影なども含め全顎的な事前チェックが不十分だとか、患者さんの健康状態のチェックが不十分な場合など不適切な施術の場合には再手術の可能性が高まります。

なので、治療前にしっかりカウンセリングを受けるようにしましょう。
なお、インプラントの成功率は95%と言われており、下顎の方が上顎より治療がしやすいため成功率は下顎の方がやや高めです。
外科処置においては成功率が高く安全性の高い治療法ですが、100%安全とは言い切れないのが現状です。

ただ、インプラントに限ったことではなく世の中で100%安全というものはありません。

例えば、家にある家電などでも全く故障や初期不良がないものなどありえませんよね?
それに自動車は便利な乗り物ですが、運転中に100%事故に遭遇しない保証などどこにもありません。

つまり、インプラント治療も安全性の高い治療ではありますがリスクもあるにはあるため、このリスクについてしっかり理解してメリットを比較した上で治療を検討することが重要でしょう。

インプラントのリスク

インプラント周囲炎によるインプラントの脱落

代表的なリスクとして周囲炎によるインプラントの脱落があります。

インプラントの周りには、自然の歯と同様に歯垢がたまり歯肉炎が起きます。
これがさらに進むとインプラントの周りの骨は骨吸収を起こしてしまい、インプラントが脱落してしまうのです。

常に清潔な状態であれば炎症は起きにくいですが、ブラッシングが行き届いていないなど汚れが長期間ついたままだったり、体力が落ちて感染しやすい状態などの場合では炎症や骨吸収が起きやすいため悪化していくようですね。

手術時の神経や血管の損傷

神経を損傷すると感覚以上やマヒなどが置きます。
さらに、血管を損傷すると大量出血の原因になります。

以前、CTなどがまだ普及していなかった頃の時代にはパノラマレントゲンだけで診断、手術が行われていました。
ですが、2次元画像では骨の形を平面的にしか判断できないというデメリットがありました。
けれどCTが発達している今では、立体的に骨の状態を把握できるようになったため、神経や血管の損傷を防止することが可能になりました。

また、インプラントを埋める位置や方向などの不良は人工歯根を埋める段階でトラブルの原因になります。
これはインプラントシュミレーションソフトなどを使えば避けられると言われています。

手術後の感染

手術後の腫れだけなら特に問題ないですが細菌感染を起こしている場合には抗生物質の投与が必要となり、場合によってはインプラント体や移植材を除去する必要があります。

なお感染のリスクを軽減するためには、手術は清潔な環境で行われる必要があります。

◇上顎洞粘膜の炎症、損傷

上顎奥歯を手術する際上顎洞という空洞に接近しますが、骨が十分にあると問題ないのですが、量が少ない場合には上顎洞の粘膜を押し上げて骨移植材やインプラントを埋める必要があります。

粘膜はとても薄くて破れやすく:炎症を起こしやすい組織なので、起きる失敗として考えられるのは粘膜の損傷やインプラント移植材が上顎洞内に脱落すること、上顎洞の感染・・などがあります。

さらに、上顎洞まで達してしまうと耳鼻科で治療を受ける必要が起きます。

残念ながらこれらのリスクを完全に予防できる手術法は今のところないと言われているため、事前のカウンセリングやメリットだけでなくデメリットを踏まえた上で治療に臨みましょう。

信頼できるクリニック選び

インプラント治療で失敗しないためには、信頼できるクリニック選びが最も重要でしょう。

クリニックの都合ではなく患者さんの立場に立った治療プランを立ててくれ、メリットやデメリットについても納得できるまで説明があることが大切です。
もし、一つのクリニックで納得いかなければセカンドオピニオンとして他のいくつかのクリニックで相談することも大切でしょう。

まとめ

2006~2011年の5年間の間に、2000件ものインプラント治療についての相談が国民生活センターに寄せられたそうです。

トラブルが起きた時返金に応じてくれるクリニックもあれば、再治療を無料で行ってくれるクリニックなど対応はさまざまなようです。
インプラント治療を受ける際には前もって担当の歯科医師にインプラントの安全性やリスク、それに対しての対応などをしっかり聞いておく必要があります。

せっかく施術したインプラントと長く付き合うためには自分にピタリあったクリニックを選び、納得した上で治療を受けたいものですね。
さらに、日ごろのセルフケアも重要ですのでしっかりケアしてくださいね!

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