近年矯正治療の技術は高まっていますが、まだまだ「見た目が悪い」「痛そう」といった理由で治療を避ける人は少なくありません。
口内の異常を放置することは、その他の悪い症状を引き起こすことにもつながります。
ここでは矯正治療をするべき人の特徴を紹介した上で、その悪い症状の具体的な例や矯正治療の種類について説明します。
目次
矯正治療をするべき人の特徴 4つ
1.食べ物が歯に詰まりやすい
食べ物や汚れが歯と歯のすき間に詰まりやすい人は、歯並びに異常がある可能性が高いです。
見た目が美しくないだけでなくプラーク(歯垢)が溜まりやすい状態でもあります。
食べカスや汚れからできるプラークは虫歯菌の温床となるので、虫歯になりやすい口内環境が作られているのです。
歯並びに異常がない人は、日々の歯磨きやデンタルフロスなどで丁寧にケアを行うことでプラークをきれいに取り除き虫歯を予防することが可能です。
しかし、そうでない人は歯と歯の間がずれていたり窮屈であったりする状態にありブラシが行き届きにくいため、セルフケアだけでは取り除くことが難しいのです。
矯正治療によって歯並びを正常に戻し、虫歯発症のこうしたリスクを最小限に抑える必要があります。
2.歯肉(歯ぐき)が痩せている
厳密には歯肉が痩せているという理由だけで矯正治療が勧められるのではなく、そのことで歯や歯並びに悪影響が出ている、もしくは出ることが予測される人に勧められることがあります。
歯肉の痩せはプラークに含まれる歯周病菌や栄養不足、ストレスなどによって悪化します。
さらに歯を支える歯肉が痩せていくことは歯並びを悪くすることにつながるので、結果的にプラークが溜まりやすい口内環境を作ることになります。
このように歯肉の異常は連鎖的に口内の健康を悪化させていきます。
矯正治療を行い歯並びの悪化を防ぎケアがしやすくすることで、プラークの発生ひいては歯周病菌の増殖を抑えることにもつながります。
3.顎の動きや音に異常がある
歯並びが悪く上下の歯のかみ合わせが合わないことで、顎に異常を起こしている場合があります。
たとえば次のような症状がある人は要注意です。
- 〇口が大きく開けられない
- 〇食事や会話の時に顎が痛む
- 〇顎を動かすと異常音がする
- 〇顎の動きがスムーズでなく違和感がある
これらは、開口障害や関節雑音、関節運動の異常といった状態で、顎の病気として広く知られている顎関節症の症状です。
またこれらは肩こりや慢性疲労の要因にもなります。
矯正治療によって歯のかみ合わせを調整し、徐々に顎の骨・関節のずれや筋肉の働きを正常に戻していく必要があります。
ただし状態によっては、歯の矯正からではなく顎を優先して治療するべきケースもあります。
いずれにしても歯と顎にこれらの異常を感じたら、早期治療のためにできるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
4.歯の見た目が悪い
歯や歯肉、顎に深刻な異常がない状態でも矯正治療が勧められることがあります。
将来的に起こりうるかもしれない口内の病気を予防するためということに加えて、本人の日常生活を豊かにするため、という理由からです。
たとえば「歯並びが悪いことで人前では歯を見せられない」「笑顔に自信がない」といった悩みを抱えている人は少なくありません。
歯並びをきれいにすることで、これらの悩みを解消しストレスやコンプレックスの解消を目指します。
自分に対する自信のなさから生じるこうした精神的ストレスは、血液循環の悪化や睡眠不足といった身体的な健康被害を発生させることにもつながります。
さらにこれらは動脈硬化や脳梗塞といった様々な病気を誘発する要因です。
もちろん、歯周病や虫歯など口内の病気のリスクを高める要因でもあります。
矯正治療は口内の健康とともに体全体の健康を健全に保つためにも有効な治療なのです。
矯正治療の種類
実際に歯科医院で行われる矯正治療にはどのような種類があるのでしょうか。
ひとくちに矯正治療と言ってもその種類は豊富です。
従来の矯正治療と、近年人気である高い審美性を実現できる矯正治療をいくつか紹介します。
ワイヤー矯正(金具)
もっとも一般的な矯正治療です。
歯の表側にブラケットという装置を取り付けて、そこにワイヤーを通し、ずれた歯を正しい位置に動かしていく方法です。
ブラケットはチタン合金やアルミとスチールの合金の金属でできていて、歯の一本一本につけられます。
「矯正治療は見た目が悪い」と言われるのは、口を開いた時にこの金属のブラケットが目立つためです。
ワイヤー矯正(セラミック・プラスチック)
金属のブラケットの代わりに、透明に近い素材を使用することで審美性(=歯の見た目の美しさ)を追求した矯正治療です。
素材には、セラミックやプラスチックなどが使われるので金属アレルギーの症状を持っている人にも勧められます。
金属ブラケットに比べて費用が少し上がりますが、このような審美性を意識した治療法は男女ともに近年人気が高まっています。
リンガル矯正
歯の裏側にブラケットを取り付ける矯正治療です。
リンガルには「舌の」という意味があることから、舌側矯正とも呼ばれます。
ブラケットが金属素材であっても、裏側に付いているため、外からは非常に目立ちにくく高い審美性を実現することができます。
ただ歯科医師の技術が必要であることから、どの歯科医院でも行っている治療法というわけではないので、希望する人は事前に歯科医院に確認することが大切です。
マウスピース矯正
透明のマウスピースを装着し、歯への負担や痛みを最小限に抑えながら矯正していく治療法です。
取り外しが可能なので食事や歯磨きはいつも通りにできます。
装着時間は1日20時間以上が目安です。
他の矯正治療と比べても特に目立たない治療法なので、従来の矯正治療を目立つことで避けてきたという人にもお勧めです。
インビザラインやクリアアライナー、オペラグラスといった様々な種類があり歯科医院によって取り扱う製品が違います。
まとめ
繰り返しになりますが、矯正治療は歯の健康を守ること以外にも有効な治療法です。
審美性、歯肉と顎などの口内環境、そして体全体の健康。「歯並びが悪いくらい気にしない!」と矯正治療を避けてきた人は、矯正治療で得られるこうしたメリットについても一度考えてみてはいかがでしょうか。