歯の噛み合わせは体の状態と関係していることがあります。
歯って口の中だし、そんなことはないんじゃないの?と思うかもしれませんが、引き起こるのは口の中のトラブルだけでなく、ズレなどによってしっかりと噛めていないと、顔周辺の筋肉に影響を及ぼすこともあるのです。
例えば、頭痛や肩こりがなかなか治らない…などの体の不調や、虫歯になりやすいなどの悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
もしかしたらその原因は「悪い噛み合わせ」によるものかもしれません。
そこで今回は歯の噛み合わせが良くないことによって起こる、体のトラブルについていくつかご紹介していきます。
そもそも理想の噛み合わせとは
では、良い噛み合わせとはどのようなものなのでしょうか。
噛み合わせたときに、奥歯や前歯などの全ての歯がバランス良く接触しており、顎に違和感を感じないことが良いの状態になります。
このようにきちんとした噛み合わせができていれば、顎の関節に変な負担がかかることもありません。
一方で噛み合わせが悪いと、バランス良く噛めていないことにより、歯や顎に違和感が生じてしまうことがあるのです。
そして、「見た目が良い=噛み合わせが良い」と思ってしまいがちですが、それはであくまでも外見で判断したものであるため、一概にそうと言い切ることはできない場合もあります。
では、噛み合わせが良くないことによって起こる問題には、口元周辺の違和感の他にどのようなものがあるのでしょうか。
以下で紹介していきます。
近頃原因の分からない不調に悩まされている…という方は是非参考になさってください。
虫歯・歯周病
噛み合わせが悪いことにより生じるトラブルとしてよく挙げられるのが、虫歯や歯周病です。
この症状を引き起こしてしまう原因はいくつか挙げられます。
まず考えられるのが、きちんとした歯磨きが出来ていない(=歯ブラシが行き届いていない)ことによるものです。
そもそも噛み合わせのバランスが良い人は、歯の形が綺麗であるということになりますよね。
しかし、噛み合わせが悪い場合、どんなにしっかりと歯を磨いているつもりでも歯並びが不揃いになっているとうまく磨くことができず、汚れが取り切れていないということがあります。
この残ってしまった汚れに潜んでいる細菌が、虫歯を引き起こすもととなっているのです。
このようにただでさえ磨くのが大変であるにも関わらず、歯と歯の間に隙間がある場合は、食べ物のカスなどが詰まりやすくなってしまうという問題も生じてしまいます。
また、唾液の分泌も虫歯や歯周病に関係しています。
噛み合わせが悪い人みんながそう、というわけではありませんが、口をきちんと閉じることができずに口呼吸をしてしまいがちな人もいるでしょう。
そうすると、口の中が乾燥しやすくなり、唾液の分泌が少なくなってしまいます。
唾液は虫歯や歯周病の進行を防いでくれる役割があるため、口呼吸が口内トラブルの原因の1つとなってしまうのです。
他にも、唾液の分泌が減る原因として、正常に噛めていないことによって、咀嚼の回数が減ってしまった結果であることも挙げられます。
頭痛
意外かもしれませんが、頭痛も噛み合わせと関連している場合もあるのです。
噛み合わせがきちんと出来ていないと、側頭筋という顎の周りの筋肉が変に緊張してしまいます。
この状態が続いてしまうことにより、血行が悪くなって頭痛という形で不具合が生じてしまうことがあります。
肩こり
肩こりも頭痛と同じような原理で、噛み合わせが良くないと、顎や首、肩にかけての筋肉の血行が悪くなってしまうのです。
その結果、頭痛や首の痛み、肩こりが生じてしまいます。
噛み合わせによる血行障害の他にも、筋肉のバランスが悪くなってしまうことも肩こりの原因の1つとして挙げられます。
顎関節症
顎関節症とは、顎の関節の周りで何らかの異常や機能の低下が起こることを指します。
この顎関節症が悪化してしまった場合、顎が鳴る、顎を動かす筋肉に痛み・痺れがある、噛むと痛い、口を大きく開けられないなどの症状が表れます。
しかし、この症状の原因については、一概に「噛み合わせによるもの」とは言い切れません。
なぜかと言うと、顎関節症が起こってしまう理由として、噛み合わせの異常の他にも、歯ぎしりや食いしばりなどの癖、精神的ストレスなど、いくつかの原因が考えられるからです。
なので顎関節症に関しては、噛み合わせの良し悪しに関わらず、なる人はなると言うことができるでしょう。
ただし、きちんと噛めていない人の方が悪化しやすい傾向にあるとも言われています。
理由としては、バランス良く噛めないことによって、顎の関節に負担がかかってしまうからです。
また、これらの原因が重なってしまうことによって起こりやすいとも言えるので、もともと噛み合わせの悪い人はそういう意味でも顎関節症になりやいと言われているのでしょう。
しかし裏を返せば、たとえ噛み合わせが悪くとも、日常生活でストレスをあまり感じず、歯ぎしりなどの癖がない場合はそれほど顎関節症の心配をする必要もありません。
効果的な治療方法はやはり「矯正治療」
噛み合わせが良くないことによって起こるトラブルについて、いくつか紹介させていただきました。
では、噛み合わせの異常はどのようにして治せばいいのでしょうか?
やはり一番効果的なのは「歯科矯正」であると言えます。
歯科矯正と聞くと、悪い歯並びをきれいに整えるだけという印象がありますが、それだけではありません。
歯並びを良くすることはもちろんですが、「きちんとした噛み合わせ」ができるようにすることに本来の目的があるのです。
歯並びが綺麗になれば「見た目」の印象もよくなりますし、噛み合わせが良くなれば、食事が楽しめるという「機能性」の向上に加え、上記で説明した症状の改善にもつながります。
それに加え、より自信を持って笑うことが出来るというメリットもあります。
マッサージを受けても頭痛や凝りがなかなか改善しない、きちんと歯を磨いているはずなのに虫歯が治らないという方は、一度噛み合わせも要因の1つとして考えて、歯科医院に相談してみるのも良いかもしれません。