目次
はじめに
インプラント治療には非常に時間がかかり、治療費も高額になるためできればずっとインプラントを使い続けたいと思うのは当然です。
ですが、患者さんがインプラント治療後にケアをいい加減にしていると、インプラント周囲炎という病気になることがあります。
このインプラント周囲炎になってしまうと、最悪インプラントが脱落することもあると言われています。
ここではそんなインプラント周囲炎の原因や対策方法などをご紹介します。
インプラント周囲炎とは
そもそもインプラント周囲炎とはインプラントの周りが歯周病にかかった状態のことを言います。
歯周病と違う病気のように感じるかもしれませんが、天然の歯とインプラントの違いのため歯周病とさほど変わりのない病気です。
そもそも、歯周病とは天然の歯の病気だと言われていますが、天然の歯はどうして歯周病になってしまうのでしょうか?
それはお口の中には歯周病の原因となる歯周病菌が常にいて、その菌が歯周組織に感染してしまうことによるものです。
つまり、歯周病とは歯の疾患ではなく歯を支えている組織の疾患・・ということになりますね。
歯周病に感染するメカニズムはお口の中にある歯周ポケットと言われるところに歯周病菌が侵入することで起こります。
その際、感染した組織と共に菌を破壊しようとするため、炎症反応として歯肉炎になってしまうのです。
ですが、歯周ポケットの奥まで細菌が侵入すると、歯と歯の骨との間にある歯根膜と言われる組織が破壊されます。
この組織は歯槽骨と一体化しているため、破壊されてしまうとそれをきっかけに歯を支える骨までが失われていくというから恐ろしいですよね?
結果的に、少しずつ歯は支えをなくしてしまうことになるため、抜け落ちてしまうのです。
それと同様インプラントも歯周病にかかってしまうことがあり、脱落するリスクがあるわけですね。
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎になってしまうと、歯周病より進行度合いが早いと言われています。
お口の中で歯周病菌が増えると歯ぐきに炎症が起きやすくなり、インプラントの周囲では特にケアがいい加減だとプラークや歯石が付きやすくなってしまうため特に炎症が起きやすいです。
つまり、インプラントの寿命を伸ばすには日ごろのお口のケアが必要不可欠です。
さらに、歯周病が全身疾患や生活習慣と深く関わっているのと同様、インプラント周囲炎もさまざまなものと深く関係しています。
たとえば、たばこを吸う人は血管が収縮しやすいため血流が悪くなり歯ぐきを健康に保ちづらいです。
インプラント周囲炎も感染症の一つなので免疫力が落ちると発症しやすくなってしまい、進行しやすいです。
さらに、歯周病と糖尿病には深い関係があると言われており、いずれかが悪化すればもう一方も悪化し、改善すればもう一方も改善すると言われています。
インプラント周囲炎の予防法
お口の中をきれいにする
歯周病の最大の原因はプラーク内にある歯周病菌ですので、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使ってインプラントの周りや隣合った歯との間などをきれいにすることが重要です。
ただ、インプラントの形状によって磨きやすい歯ブラシや補助グッズは違っているため、かかりつけのクリニックでご自分に合ったお掃除グッズを選んでもらうといいでしょう。
歯磨きが終わったら、仕上げに殺菌効果の高いマウスウォッシュを使えば歯周病菌が繁殖するのを防止できます。
歯磨き粉はフッ素無配合を
最近の研究結果によると、歯磨き粉に含まれているフッ素によってチタン製のインプラントが腐食してしまうことが分かっています。
インプラントが腐食すると表面が粗くなるためプラークが付きやすくなってしまい、インプラントの周りの歯ぐきが炎症しやすくなると言われています。
なので、インプラント治療を受けたら歯磨き粉はフッ素が入っていないものを選ぶようにしましょう。
生活習慣の見直し
また、日ごろの歯磨きによるプラークコントロール以外に、インプラント周囲炎になる要因を少なくすることも大切です。
そうすれば、インプラント周囲炎を予防することになるでしょう。
たとえば、糖尿病や歯周病、貧血・・などがある方は治療前にしっかりと処置した上で治療に臨みましょう。
また、タバコや生活習慣についても改善するようにしましょう。
クリニックでの定期的なメンテナンス
インプラント治療を行ったらメンテナンスを行う必要があります。
治療後の経過がいいからと言ってメンテナンスがいい加減だと、ご自分でのケアだけでは取り除けない汚れがどんどん溜まっていきます。
かかりつけのクリニックの指示に従い、メンテナンスを定期的に受けるようにしましょう。
定期的なメンテナンスでは歯石やプラークの有無、インプラントや歯ぐき、ご自分の歯や噛み合わせの状態をチェックしたり、骨の状態がいいかどうかをチェックしたり・・などを行います。
その結果、トラブルを未然に防ぐための処置や指導を行います。
インプラント周囲炎の治療法
インプラント周囲炎になってしまった場合、症状が軽度から中程度の場合にはインプラントをきれいに洗浄した後、歯周病が進行するのを防止するため抗生物質やうがい薬などが処方されることがあります。
さらに、症状が中程度から重度の場合にはインプラントをきれいに洗浄した後、インプラントの周りに直接抗生物質を注入しうがい薬や抗生物質などを使ってインプラントを正常な状態にしていきます。
歯槽骨が大量に失われてしまっている場合、外科的治療が必要なケースもあるため注意が必要です。
これらの治療によってインプラントを維持できればいいですが、最悪インプラントを取り出さねばならないこともあります。
このように、インプラント周囲炎についての治療の前に予防することが大切で、治療としては根本的なものはないと言ってもいいでしょう。
つまり、インプラント周囲炎になる前にしっかりと予防を行うことが重要です。
まとめ
インプラント周囲炎の原因や予防法などについてまとめてみました。
インプラント周囲炎は早期発見、早期治療により進行を食い止めることができるので、日頃からメンテナンスをしっかりと行い、いつまでも使い続けられるよう努めてくださいね!