目次
はじめに
審美性、機能性に優れたインプラント治療ですが、治療後のメンテナンスを怠るとインプラント周囲炎になり、最悪の場合脱落してしまう可能性もあります。
インプラント治療は体の中に人工物を埋め込む治療法です。
少しでも寿命を延ばすために、しっかりとメンテナンスを行うように努めましょう。
ここではインプラント治療後に行われる歯科医院でのメンテナンスの内容についてご紹介します。
インプラント治療後のメンテナンスの重要性
歯を失った時の治療法として行われているインプラント治療は他の治療法と比べて寿命が長いことがメリットですが、細菌感染しやすいため天然の歯よりメンテナンスが重要だと言われています。
自宅で行う自分自身でのケア以外に歯科医院で定期的にメンテナンスを行うことが大切で、このメンテナンスには3つのメリットがあることを理解しておきましょう。
インプラント周囲炎を予防できる
インプラントはセラミックやチタンなどでできているので虫歯になることはないものの、天然の歯より細菌感染しやすいため歯周病菌によるインプラント周囲炎になりやすいと言われています。
このインプラント周囲炎にかかってしまうと、最悪の場合インプラントが脱落してしまうこともあるようです。
インプラント周囲炎は歯周病と原因菌が同じなので症状も似ていますが、天然の歯より自覚症状が出づらく初期段階では見た目にも分からないため大変厄介です。
毎日のセルフケアでプラークや歯石を完全に落とすことは困難なので、定期的にクリニックに通っていただきお口の中をきれいにしてもらうことでインプラント周囲炎を予防できます。
もし、なんらかの病気になったとしても初期段階でなら治療が可能ですので、インプラントを除去することを避けられます。
インプラント保証制度の条件を満たすため
インプラントは10年後の残存率が9割程度となっており、入れ歯の4~5年、ブリッジの7~8年と比べても長いことが分かります。クリニックによっては10年間の保証制度を設けている場合もあり、その間トラブルが起きても修復や再手術の保証が受けられます。
さらに、クリニックそれぞれに保証制度がある場合もあり、インプラント治療後○年間は再治療の費用がかからない・・・という場合もあります。ただ、どういった場合でも保証が受けられるというわけではありません。どのインプラントメーカーも定期的にクリニックでメンテナンスを受けることを条件にしているところがほとんどです。
定期的にメンテナンスを受けない場合はトラブルが起きても保証の対象外となります。インプラント治療は自由診療なので経済的な負担が大きいためトラブルが起きてしまうと肉体的、精神的な負担がかかります。
定期的なメンテナンスを受けることでそういった負担が軽減できます。
インプラントの寿命を延ばすことができる
インプラント治療後に定期的にメンテナンスを受けていれば、もし病気になったとしても初期段階で治療ができ噛み合わせが悪くても正しくできるため、インプラントが欠けたり割れたりする確率も低くなるでしょう。
また、食いしばりや歯ぎしりのくせがある方であれば、クリニックでマウスピースを使った治療を勧められるかもしれません。
つまり、ご自分でのセルフケアだけでなく噛み合わせを調整してくれたり、ブラッシング指導してくれたりするためインプラントの寿命を延ばすためにも、定期的にクリニックでメンテナンスを受けることは重要なのです。
クリニックでのメンテナンスの内容
クリニックで行うメンテナンスの内容は検診やクリーニングがほとんどです。
検診の内容についてはいくつかあり、次のような項目についてチェックしていきます。
噛み合わせのチェックと調整
噛み合わせが乱れてしまうと、全身のバランスにも悪影響を及ぼしてしまい、頭痛や顎関節症などの原因になると言われています。
歯は少しずつ移動しており噛み合わせも一定でないので、定期的にクリニックでチェックしてもらう必要があります。
もし、バランスが崩れてしまっている場合にはインプラントを削るなど、調整を行わなければならないこともあります。
目視でのチェック
インプラントの周りだけでなく歯や歯ぐき、粘膜などに不具合や炎症がないかどうかをチェックしますが、同時に日ごろのブラッシング状態をチェックしたり、歯周ポケットの広がりなどを目視でチェックしていきます。
レントゲン撮影
インプラントの周りやあごの骨など、目では見えないところまでチェックを行っていきます。
インプラントを外してクリーニング
クリーニングはインプラントをいったん外して行う場合もありますが、お口全体のクリーニングだけの場合もあります。
インプラントを外すと言ってもボルトを外すということではなく、クラウンの部分を外し接合部分に付着したプラークなどをクリーニングします。
インプラントにはネジで取り外せるものとセメントで接合しているものとがあり、セメントで接合されているものはメンテナンスができません。
外して洗う頻度は3か月から数年に1回など、クリニックの考え方によって違っています。
お口の中のクリーニング
治療のために行うものやインプラント周囲炎の予防のためのクリーニングと内容は同じで、歯の表面に加え歯周ポケットまでセルフケアでは取り除けないプラークを除去するクリーニングを3~6か月に1回程度行います。
きちんと磨けていないところがきれいにならない場合はブラッシング指導を行うこともあります。
その他
クリーニング以外にもブラッシング指導や噛み合わせの調整など、インプラントの寿命を延ばすためにはクリニックでの定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
まとめ
インプラント治療が終わったら、天然の歯と同じく毎日ていねいにブラッシングすることが必要です。
特にインプラント周囲炎の予防のためにも、歯と歯周ポケットや歯と歯ぐきの間は特にていねいにブラッシングしましょう。
インプラント治療が終ったからと言って全て終わりというわけではなく、ずっと使い続けるためにも歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが大切です。